ユリウス暦

暦は一般に、年・月・週・日に整数を割り当てることによって日々を整理して示します。ユリウス暦とは、共和制ローマ末期の支配者ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)により紀元前45年1月1日金曜日から使用開始され、その後1600年以上、ヨーロッパを中心に使用された太陽暦(1年の長さは平均365.25日)です。平年は365日ですが、4で割り切れる年に閏年を設け、閏日を2月に挿入することによって、平均の太陽年(グレゴリオ暦の解説を参照のこと)を365.25日にします。ただし、紀元8年までは、閏年でも閏日を挿入しなかった場合がありましたが、紀元9年以降は、4年に一回閏年が設けられてきました[1]。

ユリウス暦の制定当時のローマでは多神教が信仰されていましたが、その後キリスト教でも、これが採用されたことから、グレゴリオ暦が1582年に制定されるまで、1600年以上使用されました。また、グレゴリオ暦制定後も、今日に至るまで使用している地域が残っています。例えば東方正教会では1923年まで全ての宗派でユリウス暦が使われていました。そして、その後使われている改訂ユリウス暦(Revised Julian Calendar)は、グレゴリオ暦よりもはるかに精度が高いと言われています[2]。

ところで、年代学や天文学で使われているユリウス通日とユリウス暦は全く異なるものです。ユリウス通日(Julian days)は、グレゴリオ暦における紀元前4713年1月1日月曜日の正午から通しで数えた日数(通日)で、日を単位とした実数で表しますので、小数を使って時刻を表現することもできます。ちなみにこの場合のユリウスはローマのシーザーではなく、1583年にこれを提唱したユリウス・カエサル・スカリゲルの名前をとった、と言われています。国や地域で異なる暦を使っていても、一方の暦日をユリウス通日に変換すれば、それを別の暦に変換することが可能になります。さらに、真夜中から一日を始めることを重視し、しかも大きな数になることを避けることを考慮して作られた修正ユリウス日(Modified Julian Date)も頻繁に用いられています。これは、ユリウス通日から2400000.5を引いたもので、例えば2004年3月31日の午前6時は、ユリウス通日が2453095.75になるに対して、修正ユリウス日は53095.25になります[3]。

なお、光が1年で真空中を通過する距離を1光年(light-year)と言いますが、この場合の1年はユリウス年(365.25日)とされています[4]。

[参考文献]
[1] Leofranc Holford-Strevens著、正宗聡訳(2013)『暦と時間の歴史』丸善出版、pp.46-47
[2] [1]のpp.60-62
[3] [1]のpp201-203
[4] International Astronomical Union, Measuring the Universe - The IAU and astronomical units, https://www.iau.org/public/themes/measuring/ 2022年5月6日閲覧

(2022年06月06日 初稿)

English

Julian calendar

定義

ユリウス暦とは、共和制ローマ末期の支配者ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)の決定により紀元前45年1月1日金曜日から使用開始され、その後1600年以上、ヨーロッパを中心に使用されてきた太陽暦(1年の長さは平均365.25日)です。