治水経済調査・事業評価

治水経済調査は、河川事業等の経済的な効果を測定する手法として実施されます。実施項目として費用便益分析等があります。これは①治水事業着手時点から施設の完成までの費用と維持管理費の合計である総費用(C)、②治水施設の整備により軽減される被害額等から求めた総便益(B)、③総費用と総便益の比較した費用対効果(B/C)により事業評価を行います。

治水事業は治水施設の機能を強化する典型的な事業です。河川整備は中間段階の河川整備の目標を定め、逐次上下流や左右岸のバランスを図りながら事業を実施することが一般的です。目標の設定は、効率性からみた費用対効果だけではなく、公平性の観点や治水安全度のバランスをを踏まえて進めること前提とされています。

近年において我が国では大規模な水害が2000年(H12)東海豪雨水害、2004年(H16)豊岡水害等で発生しました。海外においても2005年アメリカ・ハリケーン・カトリーナ水害、2010年パキスタン水害、2011年タイ・チャオプラヤ川水害等の大規模な水害が発生しました。近年の水害被害の状況を踏まえ、国土交通省から「水害の被害指標分析の手引 (H25試行版)」が公表されています。この手引は人的被害や医療・福祉施設、防災拠点等の機能低下被害、交通途絶、電気、ガス、水道などのライフラインの停止による波及被害など、これまで費用としての判断されなかった指標についても、判定手法が示されています。

参考文献
・治水経済調査マニュアル(案) 平成17年4月  国土交通省河川局
・水害の被害指標分析の手引 (H25試行版) 平成25年7月 国土交通省 水管理・国土保全局

(2015年11月18日 初稿)

English

Economic servey on Flood control and Project evaluation

定義

治水経済調査とは、近年の景気後退に伴い、公共事業の予算削減・コスト縮減の観点から、事業の透明性や経済性の評価が求められています。この様な観点から、治水経済調査は、治水施設の整備によって得られる経済的な効果である便益や費用対効果を計測するために実施されます。