風況シミュレーション

風は、地形の凹凸により流れる方向や強さが大きく変わります(以下、地形効果)。
立ち並んだ建物の周りで強風が発生するようなビル風は、流れる風の方向が建物により変化し、一箇所に風が集まることで強まります。同様な現象が、山や谷などでも発生し、水平距離が100m程度離れれば、一年間で吹く風速の平均値が1~2m/s程度異なることも考えられます。特に、風力発電の場合、発電量は風速の3乗に比例するため風速の強弱を詳しく理解する必要があります。そのため、地形効果を考慮することができる風況シミュレーションを用いて、目に見えない風の流れを見えるようにし(図1)、風の強弱を細かく面的に表示します(図2)。
風況シミュレーションの計算範囲は、最大で30km四方程度です。それ以上の範囲になると、地形効果以外の要因で風の流れが変化することが考えられるためです。その一つとしては、熱の影響が挙げられます。これは、太陽から与えられる熱により海面や地面が温められることによって生じる上昇気流のことです。
また、水平に1~数百m四方程度で風の流れを細かく計算して表示することができます。
風況シミュレーションの計算結果は、風力発電ゾーニングにおいて風を面的に理解する際の基礎データとして用いられます。
日本国内の主な風況シミュレーションソフトは、東京大学で開発されたMASCOTと九州大学で開発されたRIAM-COMPACTが挙げられます。

図1 風の流れの可視化

図2 風の流れの面的な表示

参考文献
石原 孟(2003): 非線形風況予測モデル MASCOT の開発とその実用化.ながれ,22:387-396
内田 孝紀、大屋 祐二(2003):風況予測シミュレータ RIAM-COMPACT の開発 ― 風況精査とリアルタイムシミュレーション ―.ながれ,22:417-428
谷川 亮一(2003):LOCALSTMによる風況シミュレーションモデルの 開発と風況評価.ながれ,22:405-415

(2016年11月11日 初稿)

English

Computational estimation of airflow over complex terrain

定義

風況シミュレーションとは、ある地域に風が吹いたときに地形の凹凸により風が増速・減速する様子をコンピュータで計算する手法です。風況シミュレーションを行う目的の一つとして、地域内で風速が速い場所を明らかにし、風力発電に適した場所を選ぶことが挙げられます。