小水力発電

発電設備の規模は、流量と落差の積によって決まるため、水の量が多いほど、また流れ落ちる高さが高いほど大きくなります。発電方式は、構造面から水路式、ダム式及びダム水路式に、水の利用面から流れ込み式、調整池式、貯水池式及び揚水式によって分類されます。

小水力発電のメリットとしては、一般河川、農業用水路、砂防ダム、上下水道施設等、様々な場所に設置できることや、流量が確保できれば時間帯に関わらず安定して発電できること、太陽光発電や風力発電と比較して設備利用率が50~90%と高いこと及び発電時に温室効果ガスを排出しないということが挙げられます。

課題としては、河川や水路の流量は季節によって大きく異なるため、安定した出力を得られる立地が少ないことが挙げられます。また適地であっても需要地から離れていることや系統への接続が困難な奥地であることも多い状況です。水路の構造や地形による発電設備の設置スペースの制約が生じることもあります。さらに、設置には近隣住民や水利権保有者等の利害関係者との合意形成が必須であることや、関係法令の手続きに時間を要することから、開発が長期化するという課題もあります。

このような課題がありますが、需要家や近隣住民の近くに設置される小水力発電は地産地消エネルギーとなり、災害時に停電しても最低限の電力を確保できるなど、地域にとってのエネルギーセキュリティ向上に寄与することが期待されます。

参考文献
・新エネルギー導入ガイドブック2008(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)
全国小水力利用推進協議会ホームページ「小水力の特徴」
・NEDO再生可能エネルギー技術白書(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)
環境省 小水力発電情報サイト
・ハイドロバレー計画ガイドブック(経済産業省 資源エネルギー庁、財団法人新エネルギー財団)

(2015年11月18日 初稿)

English

Small-Scale hydraulic power generation

定義

一般河川、農業用水、砂防ダム、上下水道施設等において、地形上高い位置で堰き止めた水が流れ落ちる勢いで水車を回し、発電することを水力発電といい、このうち、1,000kW以下のものを小水力発電と呼びます。大きな規模の水力発電では開発の長期化や生態系への影響が懸念されますが、小水力発電は周辺環境に大きな負担をかけずに設置できます。近年ではより小規模な水路等にも設置できるマイクロ水力発電の導入も進められています。