下水道長寿命化計画

下水道整備の進展にともない、多額の建設費を投じて戦後急速に普及した下水道管路施設(以下、管路施設という)の延長は全国で約46万kmにものぼります。一般的な下水環境のもとで適切な維持管理が行われている場合、管路施設の標準的な耐用年数は50年とされており、今後、維持管理や改築・更新の時期がピークを迎えます。近年では管路施設の老朽化などに起因した道路陥没が増加傾向にあり、平成25年度には全国で約3,500箇所もの陥没事故が発生しています。

管路施設は水道、電気、ガスなどのライフラインとは異なり、被災時に同等の機能を代替する手段がありません。道路陥没などの被災が生じた場合、公衆衛生面での問題や交通障害の発生ばかりか、機能停止によって水洗トイレが使用できなくなるなど、住民の健康や日常生活、社会活動に重大かつ深刻な影響を及ぼす恐れがあります。また、被災が生じてから改築工事を行った場合、コスト的にも膨大な事業費が必要となり非常に不経済です。

こうしたなか平成20年度に従来の改築・更新の考え方に長寿命化対策を加えた「下水道長寿命化支援制度」が創設され、下水道長寿命化計画に位置づけられた予防保全対策を講じなければ、下水道長寿命化計画の策定や点検調査に要する費用について、国の補助を受けられなくなりました。下水道長寿命化計画は、限られた財源のなか管路施設の予防保全的な対策を計画的に講じることにより、既存の管路施設の耐用年数を延伸させて、費用(ライフサイクルコスト)を最小限に抑えるとともに道路陥没などの事故を未然に防止することを目的としています。下水道長寿命化計画の策定においては、管路施設の状況やコストの比較によって総合的な評価を行い、改築・更新と長寿命化のどちらで対策するかを決定する必要があるため、管内テレビカメラ調査などの点検調査から得られる破損や腐食状況などの情報を蓄積し、劣化の要因を分析することが重要です。

参考文献
・下水道長寿命化支援制度に関する手引き(案),国土交通省,平成21年6月
・下水道施設のストックマネジメント手法に関する手引き(案),国土交通省,平成23年9月
・ストックマネジメント手法を踏まえた下水道長寿命化計画策定に関する手引き(案),国土交通省,平成25年9月

(2015年11月10日 初稿)

English

Long term control plan for sewer system

定義

下水道管路施設の点検調査を行い、劣化状況などから総合的な評価を行うことにより、予防保全的な対策を講じて、既存の管路施設の耐用年数を延伸させることです。