土砂移動シミュレーション

山地河川の上流域では崩壊・地すべり土石流、下流域では掃流・浮遊、火山地域では溶岩流や泥流といった様々な土砂移動現象が起こっています。これらの現象を三次元地形モデルや物理式などによって簡略化・抽象化して表現することをモデル化といいます。モデル化においては、実際の土砂移動現象を再現できるように調整することが重要です。モデル化できれば、想定した条件下(流量、流出土砂量、構造物の有無など)での計算が可能となり、土石流がどの程度氾濫するのか、下流河道にどの程度土砂が堆積し氾濫するのか、また砂防えん堤などの構造物がどの程度の効果を発揮できるかなどを予測することができます。

土砂移動シミュレーションで予測した結果は、地方自治体が公表している土砂災害ハザードマップや火山ハザードマップなどで利用されるほか、CGやアニメーションなどに加工されて、住民に土砂災害の危険性をわかりやすく説明するためのパンフレットや映像などとしても用いられます。また、砂防えん堤などを新規に建設する際に、その効果を土砂移動シミュレーションで視覚的に表現することにより、砂防施設の必要性をわかりやすく示すこともできます。

ただし、土砂移動シミュレーションはあくまで現象を簡略化して表現しているので、正確な予測のためにはまだまだ多くの技術的な課題があります。例えば、流出土砂、堆積土砂の粒径の設定方法や土砂を供給するタイミングなどによって結果が大きく異なってきます。最近の大きな土砂移動現象としては、紀伊半島の天然ダム形成・決壊による土砂流出や広島の同時多発土石流などがあげられますが、このような土砂移動現象を検証材料としてモデルの改良を重ねることで、土砂移動の予測を現実に近づけ、対策施設の整備や警戒避難に役立てることが望まれます。

(2014年12月24日 初稿)

English

Sediment disasters simulation

定義

土砂移動現象(土石流、掃流等)を物理的にモデル化し、様々な条件を与えて計算することで、想定した条件下での土砂移動量や氾濫範囲を推測する技術です。