環境デュー・ディリジェンス

デュー・ディリジェンスは直訳するとDue「正当の・当然の」とDiligence「勤勉・努力」を組み合わせた言葉であり、環境デュー・ディリジェンスとは「環境に関して払われるべき適当な注意」となります。企業買収や不動産証券化及び不動産売買の際に、意思決定をする前段階で、対象となる不動産の環境影響について入念に調査を行い、影響の有無やその度合いを正確に評価します。環境影響項目としては一般的に、大気、騒音・振動、水質、土壌、廃棄物等を含む項目が対象となります。

例えば、企業買収の際に、対象企業の資産である工場や事業所において重大な土壌・地下水汚染が発生していた場合、買収後に多額の損害を被る可能性があります。土壌・地下水汚染の場合、その調査や浄化にかかるコストはもちろん、場合によっては対象不動産の近隣住民等、第三者から民法に基づく訴訟等により損害賠償請求をうける可能性もあり、億円単位の損害が発生するリスクを秘めていることから、企業買収の投資効果を損なう恐れがあります。土壌・地下水汚染リスクがあまりにも大きく、または意思決定前に適切な調査が実施できないことからリスクの大小が判断できず、企業買収の案件自体が破綻にある事例も少なくありません。

もともとは米国において1980年代から土壌汚染問題の顕在化を契機に注目されるようになった言葉ですが、昨今日本においても土壌汚染対策法の施行(2003年)や資産除去債務に関する会計基準の公表(2008年)を契機として、企業の環境デュー・ディリジェンスの重要性について認識されるようになりました。

(2016年09月07日 初稿)

English

Environmental Due Diligence

定義

企業買収や不動産証券化及び不動産売買の際に、対象不動産の環境影響を調査し、リスクを明確に評価することです。