治山計画

我が国の国土の約7割を占める森林は、国土の保全や水源涵養、生物多様性の保全、保健休養の場の提供等の多面的な機能を有しており、国民生活及び国民経済の安定に不可欠なものです。これら公益的機能の発揮が特に期待される森林は「保安林」に指定し、治山事業の実施により適切に保全します。治山計画は、治山事業の実施計画であり、山崩れや土石流等を防止する対策工や森林の整備等について計画します。
 治山計画に基づく対策工には、渓間工(山谷止工、床固工、流路工、護岸工など)や、山腹工(土留工、のり枠工、落石防止工など)、保安林整備(間伐、枝落としなど)、地すべり対策工などがあります。東日本大震災では、津波により青森県から千葉県の海岸防災林で約140kmにわたり被害が発生しましたが、このような防災林の整備や復旧も治山事業の対象です。
 山地災害の発生件数は年々増加する傾向にあり、平成16年から25年までの10年間での山地災害の年間平均発生個所数は約2,900個所で、多くの人命や財産、ライフラインが甚大な被害を受けています。そのため国や都道府県では、地形、地質特性等からみて山崩れ等の山地災害により官公署、学校、病院、道路等の重要施設や人家等に直接被害を与えるおそれのある箇所を山地災害危険地区として調査し、治山事業実施箇所の選定等に活用しています。

参考文献
林野庁(2014):治山のしおり

(2017年9月13日 初稿)

English

Plan of forest conservation

定義

治山計画は、森林の維持・造成によって山崩れや土石流等の山地災害から国民の生命・財産を保全するとともに、水源の涵養、生活環境の保全・形成等を図り、安全で豊かな生活の実現を目的として策定する国土保全のための計画です。