シェール革命

シェールとは、頁岩(けつがん)という薄くはがれ易い性質を持つ、泥が固まってできた緻密な岩石のことです。数千万年~数億年前にできた頁岩層中には、顕微鏡レベルの微細な隙間に石油やガスが溜まっており、これらの多くは大陸の地下深くに分布しています(図1)。

図1 シェールガス、シェールオイルの分布イメージ図                  (出典:経済産業省「エネルギー白書2015」、図【第112-1-4】)

地下深くの頁岩層中の石油、ガスは、掘削が困難なため、経済的に資源開発の対象ではないと考えられていましたが、原油価格の高騰と開発技術の進化(地下深部での水平ボーリング、水圧破砕、地中観測技術の向上)により採算が合うようになったため、米国を中心に2000年代以降急速な開発が進められました。シェールガスの生産量が増大するにつれて米国の天然ガス輸入量は減少し、米国向け天然ガスが欧州に流入することにより、世界のエネルギー事情や政治状況に大きな影響を与えました。これがいわゆる「シェール革命」です。

掘削の対象となる頁岩層の多くは地中2,000m以深に分布しており、ガスの流動性が著しく低いため、頁岩の分布に合わせて地中深くで井戸を水平に掘削し、酸などの化学物質と砂を添加した高圧の水を送り込み、岩石中に人工的に亀裂をつくってガスを回収する手法が開発されました。また同様の手法で石油も回収されることがわかりました(図2)。

図2 シェールガス掘削の概要図

これらの技術により、これまで資源開発の対象ではなかった天然ガスおよび石油の、膨大な埋蔵量が確保されると考えられていますが、同時に化学物質による地下水の汚染、破壊された岩盤からのガスの漏出、大量の水使用による水不足の可能性といった環境問題の発生、水の圧入による地震誘発といった問題点も指摘されています。

参考文献
エネルギー白書2015(経済産業省 資源エネルギー庁、2016年9月12日引用)

(2016年11月11日 初稿)

English

Shale revolution, Shale gas revolution

定義

シェール革命とは、シェールガス革命とも呼ばれ、原油、天然ガス価格の高騰と掘削技術の進歩により、従来は経済的に開発が困難とされていた地下深くのシェール(頁岩)層に分布する石油や天然ガスの掘削が急激に進み、世界のエネルギー事情や政治状況に大きな変化が生じたことをいいます。