道路施設点検

日本の道路は、戦後の復興とともに整備されてきました。特に概ね昭和30年代から40年代後半までの高度経済成長期に集中して整備が進み、結果今では道路施設の大半は建設後50年近くが経過しています。そのため、近年は道路施設の老朽化による変状が進み、トンネルにおけるコンクリート片の剥離や道路照明柱の腐食による落下・転倒事故等も毎年のように発生しています。これら施設は時間の経過とともに老朽化が進むため、定期的に点検することで健全性を担保することが必要となります。

点検には近接目視という方法が用いられ、肉眼あるいは触診による変状具合の確認、あるいは点検ハンマーを用いて音の変化で状態を把握する打音検査等を行います。しかし、点検部位によっては目視だけでは健全度評価に必要な情報が得られない場合や、近接するのに労力を要して効率的・合理的でない場合があります。このような場合には非破壊試験の適用が有効であり、その手段の一つとして部材の外側から超音波で板厚を測定する板厚調査は、腐食等による部材の板厚減少を把握することができます。

点検・診断結果は、施設の機能や耐久性回復を目的とした措置を行うための計画的な補修・補強方法立案に活用されます。定期的な点検の実施により、点検→措置→記録→(次の点検)というメンテナンスサイクルが構築でき、経済的に安全性を確保する維持管理計画が実現します。

(2015年11月18日 初稿)

English

Road installation check

定義

道路は様々な施設から構成され、道路施設には橋梁、トンネル、そして附属施設である照明灯、標識、防護柵等があり、その各々が健全に機能して通行の安全が確保されます。各々の施設が健全であるかを確認する作業を点検といい、道路法により橋梁、トンネル等の重要な構造物は5年に一度点検することが義務化されました。