環境基本計画

我が国では、高度経済成長期に顕著となった公害問題等を受け、公害防止や自然環境保全のため、法規制等による環境政策が行われ一定の成果を収めてきました。しかし、大都市における大気汚染や増え続ける廃棄物の問題、地球温暖化等の地球環境問題など複雑化する環境問題に適切に対応するためには従来の政策では不十分となり、環境政策の枠組みを再構築するため環境基本法が平成5年に施行されました。

この環境基本法に基づき、政府は平成6年に第一次環境基本計画を策定し、地球環境の保全や資源循環、化学物質による環境リスク対策等の環境問題を対象として、国民を始め企業や事業者、行政、各種団体等すべての主体が共通の認識の下に、協力して課題解決に取り組んでいくために、環境政策の基本的考え方と長期的な目標を示しました。

平成24年には社会経済の変化や法改正等を受け第四次環境基本計画が策定され、9つの重点課題が示されるとともに、原子力発電所事故を踏まえ放射性物質による環境汚染対策に対する取組みが示されたことから、私たちの安全で安心な環境を守る役割として、環境基本計画はその重要性を増しています。

また、地方自治体においても、国の施策に準じた取組みに加え、各地域の環境課題に対して、より身近な立場から施策、数値目標や進行管理手法を示し、市民、事業者、各種団体が何に取り組むべきかを分かりやすく示すため、環境基本条例等に基づいた環境基本計画の策定が行われています。

参考文献
環境省総合環境政策局環境計画課:環境基本計画、平成29年8月21日閲覧

環境省:【平成6年版環境白書】、https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/honbun.php3?kid=206&serial=8734、平成29年8月21日閲覧

(2017年9月11日 初稿)

English

environmental master plan

定義

環境基本法第15条に基づき、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、政府が定めなければならないとされている環境の保全に関する基本的な計画のこと。また、都道府県や市区町村などの地方自治体が任意又は独自の条例に基づいて制定する環境の保全に関する基本的な計画のことです。