土砂動態観測

山地で発生した土砂は、がけ崩れや土石流など人家へ直接被害を及ぼす他、下流の河道に堆積し、河積を狭め洪水氾濫を引き起こす場合があります。また、逆に河床の土砂が移動し橋脚や護岸の基礎が洗掘され倒壊する場合や、ダム建設などによる下流への土砂供給量の減少が海浜や干潟の縮小の一因といわれています。

「流砂系の総合的な土砂管理」とは、有害な土砂移動を抑制し災害を防止する一方で、積極的に土砂を流送し河道や海岸の維持、生態系や景観の保全を行うなど、流域一貫で土砂移動をコントロールすることです。これを実現するためには、土砂の発生場所や量の予測、河床変動の予測、海岸変形の予測などの技術が不可欠です。土砂動態観測はこれらの技術開発や精度向上のために必要な基礎技術のひとつです。

渓流や河川に入った土砂は、小さい粒子は浮遊砂と呼ばれ、堆積することなく水と一緒に海まで流れます。浮遊砂より大きな粒子は掃流砂と呼ばれ、川底をゆっくり移動し流速の減少に伴い徐々に堆積します。土砂動態観測では、粒径や形状、重さによって移動距離や速度が異なることに留意する必要があります。具体的な観測では、浮遊砂は濁度計や直接採水により濃度を計測する方法、掃流砂はハイドロフォンと呼ばれる音響マイクを金属パイプに取り付けた装置を河床へ設置し、砂や礫が金属パイプにあたった音から粒径や掃流量を計測する方法などが主流となっています。

(2015年11月18日 初稿)

English

Sediment dynamics observation

定義

崩壊などで発生した土砂が、山地から渓流、河川、海岸へと移動してゆく過程で、土石流や掃流といった輸送形態が変化する様や、流れの幅や勾配、流量等の変化に伴い時々刻々と粒度構成や土砂濃度などが変化する様子について観測することです。