津波災害調査

津波による災害は、津波の遡上による人的被害、家屋倒壊・流失、道路・鉄道被害、電力や燃料の供給・輸送システム被害、農地浸水による農作物被害、火災の拡大、港湾・漁港・養殖施設の被害と流出・漂流物による海上輸送機能の低下など、多岐に渡ります。津波災害調査においては、津波災害発生直後に現地に入り、どこで、どのような被害が発生したのかを記録します。

また、どの地域で津波がどの地点(標高)まで遡上したかを丹念に記録することも重要です。これは津波痕跡調査とも呼ばれ、津波の痕跡(津波浸水痕、津波漂流物の到達点、津波による植生の枯死など)を特定し、その標高(津波痕跡高)を測定して位置(座標)と共に記録するものです。2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波の直後にも、国土交通省、土木学会など様々な行政機関、学術団体が津波痕跡調査を行いました。

津波痕跡高の地域分布を整理し、津波シミュレーションでその再現を試みることにより、津波を発生させた地震のメカニズム(発生領域、断層のずれの大きさや向きなど)を解明することができます。また、津波痕跡高と津波被害調査結果を重ね合わせることにより、津波被害の発生原因を推定することも可能になります。この結果は、津波に強いまちづくりや津波に強い施設の検討にも活用されます。

(2015年11月17日 初稿)

English

Tsunami Disaster Survey

定義

津波災害調査とは、津波による被害の発生地域において実施する現地調査です。津波災害調査は、津波災害の姿(どのような津波災害が発生したか)を記録すること、津波災害の原因(なぜそのような津波災害になったのか)を明らかにすることを目的としています。津波災害調査の結果に基づき、その津波を発生させた地震のメカニズムの解明や、今後の適切な津波対策の検討が進められます。