木質バイオマスは、主に製材端材や木質チップ・ペレットに加工された「木材に由来する再生可能な資源」を指し、木材産業や公共施設、発電所等の施設でエネルギー燃料として利用されています。
燃料の種類としては大きく3つに分類され、①製材工場などの加工工程からでてくる端材やオカクズ・樹皮などの残材を総称した「一般木材」と、②街路樹の剪定や住宅の解体により生じる建設廃材などの「リサイクル材」と、③林地残材や主伐で搬出されない未利用材や間伐財などの「未利用木材」に分けられます。特に③については森林の資源管理や林業の活性化など、中山間地域が抱える課題解決にもつながるため、地域の広域的な自然・生態系等の環境側面に配慮しつつ、地方自治体や地域の森林組合と連携を行いながら進めていくことが重要と考えられます。
木質バイオマスをエネルギー利用する際は、「未利用木材」などの燃料供給の長期持続性と地域の調達競合が課題となるため、関係者との合意形成や燃料調達のための体制構築が必要となります。森林所有者や地域の林業従事者などの入口から、運搬・製造に関わるエネルギー事業者まで、経済的インセンティブをもたらすような収益配分となることが重要となるため、今後木質バイオマスの普及・促進のためにも、エネルギー政策と林業政策の両面から進めていく必要があります。
また、東日本大震災からの復興に向けた取組みにおいても、膨大な木質系震災廃棄物をエネルギー利用するとともに、再生可能な資源の有効活用と持続的かつ安定的に供給する仕組みを構築し、林業の活性化や雇用を確保することが重要な課題とされています。
(2015年12月22日 初稿)