燃料電池は、現在までに家庭用燃料電池や、燃料電池車等が商品化されており、技術・サービス開発、商品化が推進されているところです。化学反応のエネルギーを直接電気エネルギーに変換するために、高い発電効率が期待でき、また電気と同時に熱も利用できるため、総合エネルギー効率も高くなります。水素と酸素しか使わないため、有害なガスの排出や振動や騒音もありません。
また、燃料電池で必要になる水素は、LPガス、天然ガス、石油、メタノール、バイオガスなど多様な原料ガスの改質や、製鉄所をはじめとした工場から豊富に得られる副生水素も利用できるため、資源確保の可能性が高いといえます。
我が国は、エネルギー資源の多くを海外に依存しています。近年、新興国の需要拡大や石油資源の地政学的リスクの高まりなどから、中長期的な資源市場の不安定化が想定されるため、長期安定的に確保できるエネルギーに転換する必要性が高まっているといえます。そのため、水素・燃料電池戦略協議会が平成26年6月に「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を策定し、燃料電池の普及拡大を目指しているところです。
今後、社会インフラの構成要素として、小型・軽量化、コスト削減、流通・利用システムの整備及び長期的な信頼性の向上を目指し、環境負荷の軽減やエネルギー自給率向上を実現し、持続可能な社会の構築に寄与することが期待されています。
参考文献
・燃料電池実用化推進協議会HP
・資源エネルギー庁 燃料電池推進室「水素の製造、輸送・貯蔵について」
(2015年11月18日 初稿)