フィージビリティ調査

ある事業を実施した結果、財政が行き詰ったり環境に悪影響を及ぼしたりすると、多大な損失を負い事業を中止する事態になりかねません。これを避けるため、事業実施後に起こりうるさまざまな問題を事前に検証し、事業の実施に問題がないか、事業の実施が好ましい結果をもたらすかをできる限り確認することを、フィージビリティ調査といいます。フィージビリティとは「実現可能性」を意味します。また、F/S調査、事業化調査、実行可能性調査などとも呼ばれます。

私たちも日頃、フィージビリティ調査に類することを考えています。例えば、ボーナスで余裕資金を得たとき、物品を購入するか資金運用するかなど思いをめぐらせ、どの使い道が最も自分にとって好都合かを比較検討するでしょう。企業活動や公共投資においても同様です。新製品は市場に受け入れられ収益をもたらすかどうか、新しい道路整備が経済的に効果的かどうかなど、経営判断や政策の決定のためにフィージビリティ調査が行われます。

最近の調査では、多岐にわたる内容が求められるようになってきました。かつては、事業の採算性や経済効果など金銭的な検討が中心でしたが、インフラ開発や工業投資に起因する自然環境の破壊や人々の健康被害などの反省から、社会や環境面の検討も重要な調査項目となっています。そのほか、地域の文化や習慣、政治情勢、地球温暖化などを考慮する場合もあります。フィージビリティ調査の実施には、事業の種類や影響を及ぼす可能性のある地域の状況により、調査の範囲や内容を的確に設定することが大切です。

(2014年12月25日 初稿)

English

Feasibility Study

定義

事業が技術的に可能であるか、財務的・経済的に無理がないか、社会や環境へどのような影響をもたらすかなど、事業実施後の展開をいろいろな観点から事前に検証し、事業の実現性の程度を確認する調査です。