日本では梅雨前線や台風等による豪雨が毎年いくつか発生し、流域から河川へ集まった雨水が流下しきれなくなり、度々氾濫を起こしています。多くの都市が一級河川・二級河川沿いの沖積平野に位置しており、洪水時の河川水位は都市の地盤よりも高い位置に達します。そのため、一度堤防が破壊されたり堤防から水が越水すると、人命と財産が多く奪われます。
この背景のもと、被害を最小限に抑えるため、地域の水防団により水防活動(土のうを積む、防水シートを張る等の活動)が行われています。水防団は水位が氾濫注意水位等の基準水位に達すると河川の点検を行います。この際、河川全区間を順に点検するのは非効率的であり、被害を可能な限り早期に発見することを目的とし、河川管理者が前もって水防上重要な区間として優先的に点検する区間を評定基準により定めています。この区間を重要水防箇所と言います。
重要水防箇所の選定は、各種の評定基準(堤防高、水衝洗掘、堤防断面、法崩れ・すべり、漏水、工作物、工事施工、新堤防・破堤跡・旧川跡および陸閘)から行われ、重要度に応じてランク「A」、「B」および「要注意」に分類されます。評定基準の詳細を表1(※国土交通省 重要水防箇所評定基準(案)[平成18年10月16日改訂]を基に作成)に示します。
(2015年11月18日 初稿)