港湾施設は、日本の物流の中枢を担っているので、安全・安心な状態を維持し、長く使うことが求められていますが、これまでの港湾施設の維持管理は、異常が発見されてから補修を行う事後保全が一般的でありました。しかし、異常の状態が軽い段階で補修を行うと、長く使うことができ、港湾施設の生涯に必要な補修費用の低減されることが分かってきています。この計画的な維持管理と予防保全を進め、港湾施設の生涯に必要な補修費用の低減を図る技術が港湾施設維持管理計画です。
例えば,人は、定期的に健康の維持や、病気の予防、早期発見を目的に健康診断を受けます。港湾施設も同じように定期的に点検調査(健康診断)を行い、変状(コンクリートのひび割れなど)を目視で確認します。目視で確認できない施設の内部は、専用の機器を使います。目視調査と専用の機器を使った調査結果から、施設の状態を評価し、補修の必要の有無について判断します。港湾施設も人と同じように早めの対応を行うことが長生きするこつです。
日本の道路、橋梁、港湾施設などの構造物は、高度成長時代に建設されたものが多くあり、今後使用可能な年数を超過する構造物が急増してきます。使用可能な年数を超えた日から構造物が使えなくなるわけではありませんが、定期点検の着実な実施、点検結果を記録として保存、異常個所の早めの補修をすることが、施設の長寿命化と港湾施設の生涯に必要な補修費用の低減に繋がります。
(2014年12月25日 初稿)