海岸保全基本計画

海岸法は、津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護するとともに、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を図り、国土を保全していくことを目的としています。「海岸の防護」が優先されたことへの反省から平成11年に海岸法が改正され、「海岸環境の整備と保全」および「公衆の適正な利用」が目的に加えられ、総合的な海岸の保全が進められることになりました。そのために、全国を大きく71に分けた沿岸毎に、今後の海岸保全のあり方を示した「海岸保全基本計画」の策定が新たに義務づけられたのです。

総合的に海岸を保全するためには、色々な視点からの検討が必要となります。例えば砂浜海岸を見てみると、砂浜がなくなる「侵食」に悩まされている所が多く、堤防や離岸堤などの人工構造物で防護をしています。このような海岸には海浜植生が育っていたり海鳥が営巣したり、時にはウミガメが産卵に訪れたりする場合があります。また、浜遊びや海釣り、サーフィンなどのレクリェーションにも利用されたりもします。できるだけ人工構造物を少なくして、砂浜をバランスよく守る方法が求められているのです。

十数年前の法律の改正によって全国の各沿岸で作成された基本計画ですが、構造物などのハード対策の配慮だけでなく、海岸利用に当たり、自然環境を始め海岸環境へ悪影響を及ぼさないよう、マナーの向上などのソフト対策も重要です。そのためには地域の意向に十分配慮し、地域との連携を図っていくことが大切なこととなっています。

(2014年12月29日 初稿)

English

Coastal protection master plan

定義

この計画は災害から海岸を守るだけでなく、海岸環境の整備と保全、人々の海岸の適切な利用の確保を図り、これらが調和するよう、総合的に海岸の保全を推進するために作成します。また、地域の特性を生かした地域とともに歩む海岸づくりを実現するための基本計画です。