河川には、洪水や震災によって被災を受けた河川管理施設の復旧活動ならびに水防活動の拠点、および復旧を行うための資材を備蓄する施設として、河川防災ステーションや水防拠点が整備されています。また、河川敷道路、船着場など、緊急時に河川を活用して移動するための施設も整備されており、本稿ではこれらを「河川防災施設」と称します。
これら各機能を持った河川防災施設を、どこにどのように配置するか、整備するためにどの程度の規模が必要か、どのようにアクセスするか等について、河川の特性、想定される被災形態および復旧資材量、地域のニーズ、周辺の土地利用等、様々な要因を考慮して全体計画を立案します。
河川の水が溢れたり堤防が崩れたりした時、行政(河川管理者)や水防団が素早く対応するためには、河川防災施設が適切な位置に整備されていること、土砂やブロックなど復旧に用いる必要な資材が近くに準備されていることが不可欠です。また、緊急時の移動経路を確保することも重要です。
これらの適材適所をプランニングすることが、河川防災施設計画です。河川防災施設は、普段は親しむことの少ない施設かもしれませんが、河川防災ステーションや水防拠点は広場として日常的な利用も可能なように整備されていることがあります。
河川防災施設計画では、各施設の役割と機能、連携を踏まえて、整備の優先順位を検討し、短期・長期の段階的な事業計画についても立案します。
これらのプランニング技術は、昨今、頻発する集中豪雨や発生の恐れが指摘されている首都直下地震、南海トラフ地震等の危険性が高まる中で、 河川の防災・減災機能を早期に向上させ、流域住民の安全・安心を守るために役立っています。
(2019年05月08日 更新)
(2015年01月26日 初稿)