農地は、農産物の恵みを得るとともに、様々な自然の役割を担っています。それは、自然環境の保全に加え、観光農園等のレクレーションの場、癒しの場、食育の場、災害時の避難場所等として多面的な役割を果たしています。この農地を確保し、守るためには、計画的な農地の利用と整備が必要となります。農業振興地域整備計画は、そのための農地の利用計画と農業振興のための計画を定めたものです。
農地の利用計画では、今後10年先まで、農業上の利用を確保すべき土地を農用地区域として定めます。区域を定めるにあたっては、10ha以上のまとまった農地や、耕地整理された優良農地が対象となります。また、定められた農用地区域内では、農地や農業用施設用地などに区分して土地を利用することになります。いったん農用地区域に定められると農用地区域から除外しないと農地を宅地など、他の利用に使用することができなくなります。このようにして農地は守られていくことになります。
農業振興のための計画では、農地の区画の拡大、水田の汎用化、農業用用排水施設の整備など具体的な事業の種類を定めます。そのほかにも、農地を保全するための施策や農業経営規模を拡大するための施策、農業の近代化のための施設整備の計画などを定めます。将来の農業の振興策は、この計画に従って進められることになります。
一方、農業環境は、農業者の高齢化や担い手不足が大きな問題となっています。こうした問題を解決するために、農業以外の働く場所づくりや、農業・商業・工業が連携した新たなブランド品の開発、販売などの計画を立てています。このように、農業振興地域整備計画は、農業振興地域の一体的な整備を推進していくために計画されています。
参考文献
・全国農業会議所パンフレット:農業振興地域制度のあらまし
(2015年11月18日 初稿)