小水力発電事業

太陽光発電や風力発電などと違い、小水力発電の場合、河川や水路等の候補地点は発電出力が数十KWに満たないものが大半であり、設置場所の地形や水の落差をみて個別に計画をたてる必要があります。発電できる能力(kW)が同じであっても、高落差で小流量の場合と低落差で大流量の場合とでは、水車の種類も必要資材も工事のやりかたも、かなり異なったものとなります。事業を推進する上では、土地所有権、水利権、漁業権などの権利関係や、自然公園、自然環境保全、国有林、砂防などの法規制の有無も重要なポイントとなります。

特に水の流れを利用することは、太陽光や風力などの場合と違って、その近くに住む人々の利害と関係することがあります。よって、単に発電できる電力量とその地形的・自然的条件などだけでなく、小水力利用がその地域の人々にどのような利害をもたらすか、地域社会でそれをどのように支えていくことができるかという社会的な観点が重要です。計画・立案の段階から、地元の方々との合意形成が事業を実施する上で非常に重要となってきます。

また、小水力発電を実施するにはコストもかかる上に、事業実施する間の維持補修にも手間がかかりますが、地域に眠る資源を地域住民とともに協働し、地元住民にも参加してもらうことによって地域の創生・発展を図る手段として活用できます。過疎化の進む山村でも、農業には不利な地域でも、かんがい用水が流れている耕作放棄地でも、水力を利用することで生活の利便性と豊かさを改善できる可能性があります。エネルギーの地域内自給率向上により、災害に強く地域の価値向上にも大きな期待ができます。

(2014年12月26日 初稿)

English

small hydroelectric generation

定義

国内の小水力発電は、新エネルギー法の施行令改正(2008年4月施行)により、水力発電のうち1,000kw以下の発電事業をさします。設置する場所は限られますが、年間を通じて安定した発電量(kw)を確保できます。