海浜流

海浜流は、波のエネルギーにより発生するため、波の向きや高さにより、流れの向きや流速が変化します。そのパターンは2つに大別されます。図1(a)の場合は、波が海岸線に対して直角に当り、海浜の波打ち際から沖合いに向かう流れ、すなわち離岸流を伴う左右対称の循環する流れとなります。一方、図1(b)の場合は、波が海岸線に対して直角に当らず、沿岸に沿った流れ、すなわち沿岸流が強い左右非対称の流れとなります。

図1 海浜流パターン 〔新編〕海岸工学(堀川清司著、東京大学出版会)を参考に加筆作成

海岸では、海岸地形の変化や砂浜の消失、海水浴やサーフィンでの海難事故などが、海浜流が原因で発生することがよく知られています。これは、離岸流や沿岸流のように一定方向の強い流れが突発的に発生するためであり、海浜流は、風浪や海岸地形の影響を受け、複雑なものとなっています。

海浜流を観測するには、観測箇所に流向・流速計を設置することが一般的であり、同時に、沿岸流を発生させる波浪を観測することもあります。また、海浜流は、海岸地形に沿って局所的に発生する複雑な流れであるため、海面に複数のマーカーブイを投入し、その航跡を同時に追跡することで海岸全体の流れを観測する方法もよく用いられます。

参考文献
・〔新編〕海岸工学(堀川清司著、東京大学出版会)

(2019年07月24日 更新)
(2015年11月18日 初稿)

English

Coastal Current

定義

海浜流とは、海浜の波打ち際において、波が引き起こす局所的な流れの総称であり、波打ち際で発生する流れのことです。