近年、欧米においては、SRについて各国の状況に応じた定義や評価方法の検討が進められています。今後、日本における土壌汚染対策でも、環境面や社会面を考慮し、広くステークホルダ(利害関係者)の合意形成のもと、土壌汚染対策を進めていくことも予想されます。
SRは、土壌汚染対策の様々な段階に適用していくことができます。例えば、「事業計画の段階」から適用し、土壌汚染対策も含め、土地利用計画そのものについて合意形成を図ることや、「対策方針を検討する段階」、「浄化方法を選定する段階」で適用することも考えられます。対策方針を検討する場合、これまで土壌汚染リスクの低減が主目的でしたが、実際には、工事に伴うCO2発生量、エネルギー消費量といった環境負荷や、工事に伴う事故リスクや交通渋滞といった社会面への影響などを総合的に判断すると、土壌汚染を残して管理するほうが良いという結果になる場合も考えられます。ここで、重要なのは、これらの方針を決定する段階においても、事業者や土地所有者だけではなく、周辺住民や行政、有識者などが関与し、共通の情報を持って、議論・合意していくことです。
今後、国内において、SRの考え方を普及していくためには、SRを実施する際に、どのような項目について評価を行い(評価項目)、どのように(定量的 or定性的)評価を行うのかといった評価指標・尺度について、具体的に示していく必要があると考えられます。
(2017年9月22日 初稿)