民法上、不動産とは「土地及びその定着物をいう」とされており、土地と建物は別個の不動産と定義されています。不動産のうち土地の経済価値に着目し貨幣額で表示する行為を土地評価といいます。
土地の評価といっても更地、借地権など権利形態の違いにより経済価値は異なります。更地のように利用や処分に制限のないものと、借地のように一時的かつ利用や処分に制限のあるものでは利用価値が異なるためです。また、価格の評価と賃料の評価でも経済価値が異なります。元本の価格と異なり、賃料は元本を一定期間利用することができる価値に着目するためです。土地の評価といっても一意的に定まるものではありません。
土地の評価主体も様々です。地価公示などに代表される公的評価では不動産鑑定士が評価を行います。一般人が不動産の売買を行う場合の売出価格は売主が決定権者ですが、不動産仲介業者の価格査定を参考に値付けします。住宅ローンを利用する場合は、金融機関が担保評価を行い貸出額の上限を決めます。このように評価主体も様々であり、評価主体が異なることで同じ土地であっても求められる価格に差異が生じています。このため、どの価格が適正なのかという問題が生じています。
世帯減少による空家問題、少子高齢化に伴う大相続時代を迎えるにあたって、中古住宅の流通活性化や相続税評価など、様々なシーンで土地評価が必要となる中、適正な評価が課題となっています。
(2015年11月18日 初稿)