水質管理は上水道と下水道を対象として行われます。上水道の場合は水道水の品質と安全性を確保すること、下水道の場合は生活環境の向上と公共用水域(河川、湖沼、海域など)の保全を図ることが目的です。ここでは主に、私たちが生きていくために欠かせない上水道の水質管理を解説します。
上水道の水質管理には、次の2種類があります。
① 水源から浄水場を経て、配水施設に至る給水システム全体の水質管理
② 飲料水の水質基準に適合しているかどうかを判断するための水質管理
現在、水質に関する国際基準は存在しません。その代わりに世界保健機関(WHO)が、科学的な根拠に基づいたガイドライン値を公表し、世界各国へ勧告を行っています。
ところで、私たちは「安全な飲料水」という言葉を「飲料水の水質基準に適合した水」という意味だと理解していますが、国際的には「改善された水源」と定義されています。「改善された水源」とは、家庭内や公共の水道、深井戸、汚染から保護された素掘り井戸や湧水、雨水などを指し、必ずしも水質基準への適合性が確認されているとは限らないことに注意が必要です。
世界には豊富な水を持ちながらも、それを飲料水として利用できない「水質的水不足」に陥っている国がたくさんあります。適切な水質管理の実践こそが、これらの国々を救う道であると言えます。
参考文献
・国立保健医療科学院(2012)「飲料水水質ガイドライン第4版(日本語版・Web公開用)」
最終閲覧日2015年7月31日
(2015年11月10日 初稿)