太陽熱利用

太陽の熱を使って温水や温風を作り、利用する太陽熱利用のエネルギー効率は40~60%にのぼり*1、太陽光発電の20%程度を大きく上回ります*2。また、太陽光発電ほど天候の影響を受けず、安定的にエネルギーを得られます。

また、住宅用システム(6㎡)を用いたとき、都市ガスが費やす年間エネルギーに比べて510kg-CO2が削減されます*3。

課題としては、熱エネルギーを遠くまで運ぶことができないことが挙げられます。このため太陽熱利用においても、需要地の近傍で熱を得る必要があり、設置場所は、給湯、暖房、冷房といった熱需要のある建物及びその周辺に限られます。このため、設置された建物では冷たい水から温水を作るよりも燃料消費を低減できますが、面的な広がりが限定的です。また、普及に向けては、設備のイニシャルコストの低減と高効率化も重要です。

このような課題がありますが、太陽熱利用は地産地消エネルギーであり、普及拡大によってコスト低減や高効率化だけでなく、エネルギー自給率の向上や、非常時のエネルギー利用といった社会的課題への寄与も期待されることから、近年あらためて注目されています。

参考文献
*1 資源エネルギー庁 
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/attaka_eco/df/index.html 2020年4月17日閲覧
*2 資源エネルギー庁 
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/taiyoukouhatuden2017.html 2020年4月17日閲覧
注)出典1では太陽光発電のエネルギー効率を7~18%としているが、ここでは20%を超える数値として示している。
*3 (一社)ソーラーシステム振興会 
http://www.ssda.or.jp/energy/merit/ 2020年4月17日閲覧

(2020年04月22日 更新)
(2019年03月29日 更新)
(2015年11月18日 初稿)

English

Solar thermal utilization

定義

太陽熱利用とは、太陽の熱エネルギーを屋根などに設置した太陽熱集熱器に集め、給湯や温水プール、冷暖房などに利用することをいいます。国内では、戸建住宅のほかホテル、病院及び福祉施設といった給湯需要の大きい建築物を中心に利用されています。太陽光発電との違いは、太陽エネルギーから電気を起こすのではなく熱を取り出すため、エネルギー効率が良いことです。