環境影響評価は環境アセスメントとも呼ばれています。手順としては、まず、開発行為に先立ち計画地及びその周辺の生活環境や自然環境を調査するとともに、工事の実施や土地及び工作物の存在及び供用による大気汚染、騒音・振動、水質汚濁、動植物の生息・生育環境への影響などを予測します。その結果、環境への影響が大きいと判断される場合には、環境の保全のための措置として、計画地の変更や縮小などによる影響の回避や、環境への負荷の小さい施工方法などによる影響の低減を検討します。
例えば海域で埋立事業を行うとします。この場合、工事の実施による海域の濁り、埋立てによる潮流の変化、海生生物の生息場所の消失などの影響が考えられます。環境影響評価では、まず環境の現況を把握するために、周辺海域において水質、潮流、海生生物などの調査を行います。次に調査結果に基づいて水質・潮流の予測計算や、海生生物の生息場所への影響などの予測を行います。予測の結果、例えば濁りの影響が大きい場合には、濁りを低減させる汚濁防止膜の設置などを検討します。また、干潟や藻場など海生生物の重要な生息場所が消失する場合には、埋立区域を変更して生息場所の消失を回避したり、代替の生息場所を創出するなどの措置を検討します。このように環境影響評価により、開発行為による環境への影響を回避又は低減することができます。
環境影響評価の制度については、平成11年に環境影響評価法が施行され、対象となる事業や手続きなどが定められており、都道府県や政令指定都市においても同様の条例が定められています。なお、条例では、地域の実情に応じて法律より規模の小さい事業も対象としたり、対象となる事業の種類を追加しています。これらの法律や条例により、事業者には計画段階の環境への配慮事項を記載した「配慮書」、調査・予測・評価の方法を記載した「方法書」、調査・予測・評価の結果を記載した「準備書」「評価書」の公告・縦覧が義務付けられており、一般住民の方も環境保全の見地からの意見を提出することができます。
(2014年12月22日 初稿)