1964年の新潟地震において、国内で初めて液状化による橋梁の落橋や住宅の倒壊、地下埋設物の浮き上がり等が確認され、注目されました。当時は液状化現象が正しく理解されていなかったため、液状化という言葉がなく、流砂(土の重みや圧力で崩壊する現象)として認識されていました。その後、液状化のメカニズムが、地震の震動によって土粒子(砂粒)の間隙にある水の圧力が上がり、一時的に土粒子が水中に浮く現象と解明され、液状化と名付けられました。
液状化が生じてしまうと、その過程で水と共に土粒子が地表面の弱い箇所を通って、噴き出る現象(噴砂)が見られます(写真1)。
すると、地盤は建物を支える強度を失い、写真2のように堤防に沈下が生じたり、写真3のように地表面が凸凹に変形したり、マンホール等の軽い構造物が浮き上がったりします。
東日本大震災でも千葉県浦安市を初め、海岸沿いの広い地域で液状化が生じました。結果、住宅の沈下や道路・水道管などの破損により、ライフラインの復旧までに長い時間と多額の復旧費用が生じました。
このように、液状化の生じる地盤が分布する地域の多くは、主に平野部の人口や構造物が密集する地域であり、液状化に伴う被害規模が大きくなる傾向にあります。
このため、事前に液状化の発生する地域を把握することや構造物に対策を講じることで、少しでも被害規模を小さくすることが社会資本を守る上で、最善の方法だと考えられます。
(2016年11月2日 初稿)