水は人々の生活に欠かせない資源ですが、無尽蔵にあるわけではありません。みんなが好きなだけ使い、汚し、排出しようとするとどうなるでしょうか。水が不足し川や海が汚れるだけではなく、その影響は土壌や森林資源にまで及び、結局は私たち人間を含む生物全体の生息環境(生態系)に跳ね返ってきます。また、一部の人々が水を占有したり、汚したりすることで、他の人々が不満を持ち、社会的な問題となることもあります。
このようなことを避けるためには、すべての関連分野(農業、上下水道、商工業、水力発電、防災、環境など)が協力し、量的・質的に持続可能な範囲で水を利用していく必要があります。統合水資源管理はそのために提案された概念であり、1)水循環における水の形態(雨、表流水、地下水など)をまとめて考えること、2)水に関わる様々な分野をまとめて考えること、さらには3)政府、自治体、企業、NGO、住民といったあらゆる立場の利害関係者が参加することが重要となります。
統合水資源管理は何らかの計画を立案することを指すものではありません。水やそれに関わる資源をより良く管理するための過程そのものであり、各地域の気象条件、地理条件、文化、慣習、価値観などに応じて独自に確立されるべきものだと言えます。
参考文献
Global Water Partnership, http://www.gwp.org/The-Challenge/What-is-IWRM/, 2016年9月26日
文部科学省,水資源の統合管理の概念整理 , 2016年9月26日
(2016年10月21日 初稿)