費用と便益の大きさを比較する主な指標としては、費用便益比(Cost Benefit Ratio、B/C)があります。これは、事業に要した費用(Cost)に対する事業により発生した便益(Benefit)の比率であり、その値が1以上であれば、便益が費用より大きいことから、その事業は経済的な効率性の観点から妥当なものと評価されます。
ある一定規模以上の道路事業を実施する場合には、その事業の効率性や効果について確認し、事業実施の必要性について評価することが義務付けられています。その評価の一環として費用便益分析が適用されています。ここで、費用や便益として何を見込むか、また便益の大きさをどのように金額換算するかについては様々な考え方や方法がありますが、道路事業に係わる具体的な費用便益分析手法としては、道路整備により短縮された時間を「走行時間短縮便益」として、燃料やタイヤの消費が減少する効果を「走行経費減少便益」として、また事故が減少する効果を「交通事故減少便益」として計算しています。
道路整備により得られる効果には、この他にも、道路が新たに整備されることで、自動車交通が分散するため、沿道の生活環境や大気汚染の改善などの様々な効果が期待されますが、客観的に把握が可能で、かつ効果の量を金額に換算できるものを「便益」として計算しているのです。
(2015年11月18日 初稿)