無収水対策

無収水の大きな要因は、水道施設の不適切な事業運営にあります。発展途上国では資金的あるいは技術的な制約などで水道施設の適切な事業運営が困難なため、無収水率が高く、無収水対策が特に必要とされています。アジア水道事業体の無収水率は殆どの国で高くなっていますが、カンボジア国の首都プノンペンでは、国際協力機構(JICA)、横浜市、北九州市の水道局による支援により、無収水率を72%(1993年)から7%(2014年)まで向上させることに成功しています(カンボジア国プノンペン水道公社ホームページ参照)。この支援では、リハビリテーション等によって水道施設を改善し、漏水検知や水道メータの交換ができる人材を育成しました。加えて、水道事業体に対して、事業運営についての労働意欲や改善意欲の改革を行いました。これらの支援により、無収水率が劇的に減少し、事業収入が増加したことで、更なる施設整備や人材育成が可能になり、先進国並みの無収水率を実現しました。カンボジアでの成功は、日本の水道事業体が培った事業運営ノウハウの移転によるところが大きく、他の発展途上国の手本となる取り組みと言えます。

参考文献
カンボジア国プノンペン水道公社ホームページ
http://www.ppwsa.com.kh/en/index.php?page=none-revenue-water, 2016年10月11日

(2016年10月19日 初稿)

English

Non-Revenue Water Management

定義

無収水とは、配水管からの漏水や盗水により料金徴収ができない水を指し、その割合が小さいほど、無収水率が優れた水道経営状態であると言えます。安定した水道事業の運営には無収水対策が不可欠であり、全世界、特に発展途上国における水道事業体の独立採算を推進するための共通課題となっています。