河川環境整備事業評価

河川環境整備事業が実施され始めたのは、平成9 年の河川法の改正にともない、河川の総合的な管理内容のひとつとして、従来の「治水」「利水」に加え、「河川環境の整備と保全」が位置づけられ、地域の意見を取りいれた河川整備の計画制度が導入されたことによります。それ以降、河川浄化事業、河道整備事業、河川利用推進事業が各河川において進められており、これらの事業を効率的に行うため、事業実施による経済効果について評価の上、公表することが求められています。

河川環境は、水量・水質、生態系、人と自然との豊かなふれあいの場、景観等の多くの要素から成り立ち、総合的な観点から事業を吟味する必要があるため、その経済効果の評価については、未だ確立された手法はなく、CVM(仮想市場法)やトラベルコスト法等いくつかの代表的な手法が提案されており、様々な検討が進められている段階です。

例えば、その中でも多用されているCVMでは、河川利用者の居住範囲や事業の認知度等から一定距離を定め、その範囲内の世帯にアンケートを行います。アンケートでは、「この事業による効果のためにいくら支払ってもよいか」というふうに、事業に対する個人の思いや考えを貨幣換算した金額を把握し、この金額の積み上げによって事業全体の効果(便益Benefit)を算定します。それらが事業費(Cost)よりも大きければ(B/C>1.0)、事業の効果が発揮されるという考え方を用いて、環境事業の評価を行います。

参考文献
「河川に係る環境整備の経済評価の手引き」【本編】 (平成22年3月) 国土交通省河川局河川環境課

(2015年11月18日 初稿)

English

River environment project evaluation

定義

河川環境整備事業とは、河川法に基づいて行われる河川整備事業の一つであり、具体的には水質浄化や清浄な流水の確保を図る「河川浄化事業」、環境護岸、せせらぎ水路、散策路等の整備を行う「河道整備事業」、河川水面利用の適正化や推進を図る「河川利用推進事業」に区分されています。これらの事業を効率的に実施するため、事業の経済的な効果を評価する取り組みを「河川環境整備事業評価」といいます。