下水道とは、日常生活などで発生した汚水を、下水道管で下水処理場へ送り、きれいに処理して河川に放流するまでの施設です。下水道が整備されていない場合、1)生活排水や工場排水などの汚水がそのまま河川に流れ込むことによる環境汚染2)汚れの流出による公衆衛生の脅威3)大雨時の雨水排除障害による浸水被害など 様々な問題が発生します。また、水洗トイレ化が図られることで、衛生的で快適な生活が得られます。このように下水道は自然環境や、生活環境の改善という大切な役割を担っています。
下水道法は、明治33年土地を清潔に保つことを目的として制定されました。その後、生活環境への関心の高まりに伴い、昭和33年旧法を廃止し、下水道法が新たに制定されました。下水道法が制定された当初は、合流式下水道を中心とした都市内の浸水防除や、生活環境の改善に重点が置かれていました。また、高度経済成長による公害問題へ対応するため、昭和45年に下水道法の改正が行われました。この結果、「公共用水域の水質の保全に資すること」という一項が目的に加えられ、ほぼ現在の下水道法の体系が出来上がりました。その後も下水道法は、下水道を取り巻く状況の変化に対応すべく、改正が行われています。最近では、再生エネルギーの活用、地域の状況に応じた内水対策、下水道施設老朽化などの問題を解決するため、平成27年5月に改正されました。
下水道が整備されることで、安全かつ健康的で豊かな生活を可能とします。そのため、下水道法は下水道の多様な役割を機能的に担うため、また、社会生活の秩序を維持するために定められている法律です。
参考文献
・下水道の歴史,国土交通省
・下水道の役割の変遷,国土交通省
(2016年11月02日 初稿)