東日本大震災では、海岸堤防等の施設規模を大幅に上回る津波の発生により、甚大な被害が発生しました。洪水・高潮等においても近年、これまでの想定を越える浸水被害が多発しており、津波対策同様に、想定し得る最大規模の災害を想定し、防災・減災のソフト対策に重点をおくことが示されました。このため、2015年(平成27年)には、水防法が改正され、都道府県知事は、高潮特別警戒水位に達した場合、高潮氾濫危険情報を水防管理者、関係市町村長などに通知および周知することになりました。
高潮特別警戒水位は、過去の高潮災害資料や高潮浸水シミュレーションの結果等より、堤防決壊、越流による氾濫時の水位から設定されます。設定においては、情報伝達に要する時間や相当な被害が発生するおそれのある高潮により水位上昇が起こり、海岸・河川から決壊・越流により浸水が始まるまでに住民が避難完了するのに必要な時間(リードタイム)が考慮されています(図1参照)。
また、今後の高潮水防に向けた取り組みとしては、「高潮に係る水位情報の通知及び周知」、「高潮浸水想定区域の指定」に伴うハザードマップ作成などの措置を徹底させ、最大規模の高潮に対する危機管理、避難警戒態勢の充実を図ることが重要となります。
参考文献
・国土交通省(2015):高潮特別警戒水位の設定要綱
2016/10/22
(2016年11月09日 初稿)