数値解析モデルが地下水流動の問題に対して適用されたのは、1964年の米国カリフォルニア州ロサンゼルスの海岸平野が最初です。日本においては、1969年に武蔵野台地の地下水解析で平面2次元モデルが開発されて以降、モデル構造も準3次元単層モデル、断面2次元モデル、準3次元多層モデル、3次元モデルと発展してきました。準3次元とは、地下水の流れを帯水層では水平方向、難透水層(粘土層等の加圧層)では鉛直1次元方向のみで再現させるモデルのことです。
地下水シミュレーションを目的で分類すると、地下水揚水量の変化や建設工事に伴う地下水の流れ、地下水位の変化を予測する地下水流動モデル、軟弱地盤地域での地下水位の低下が原因で生じる地盤沈下量を予測するモデル、沿岸部での塩水侵入や化学物質による汚染を取り扱う物質輸送モデル、地熱や帯水層の蓄熱貯留等を解析する熱流動モデル、等があります。
地下水流動モデルを例で示すと、①水文地質構造の解析、②地下水位分布・変動の把握、③プログラム(解析コード)の選定、④モデル構造の構築、⑤水理定数等のパラメータの検討・作成、⑥モデルの検証、⑦予測解析、という流れで解析が進みます。
数値解析モデルの今後の課題として、GISと地下水シミュレーションを組合せた解析や地表水モデルと地下水モデルの総合解析等が挙げられ、より精度・信頼度の高いモデル構築が期待されています。
(2016年10月21日 初稿)