計算幾何学は、機能的な観点で①組合せ論的計算幾何学と②数値的計算幾何学に大別されます。前者は特徴点・直線・パッチ面などの基本要素で構成される平面形状や立体形状として表現されるものを対象とし、後者は数式で表現される曲線・曲面の組合せで表現されるものを対象としています。
①組合せ論的計算幾何学の処理の例としては、GISやCADで使われている最近傍探索、最短経路探索、ドロネー三角形分割、点とポリゴンの内外判定などが該当します。これらの例では、3次元の計測点をセンサから取得し、表面形状を捉えた特徴点を使用します。これを空間的な隣接関係から直線やパッチ面などの微小なパーツを組み合わせで形状を表現し、点と物体、物体同士の重なりを判定する干渉チェックが可能であり、例えば、大型機材を搬入する際の経路計画の立案などに利用されます。
②数値的計算幾何学の応用例としては、主に産業分野で携帯電話から自動車・航空機などの様々な製品の設計での活用が挙げられます。例えば、人間工学に基づく丸みを帯びた形状や移動物体の空気抵抗を考慮した流線型を表現する際には、製品の立体形状を数値的に表現される曲面形状でモデル化しています。
また、製造物の品質管理において両方の技術が使われることもあります。例えば、検査工程で、センサで測定し、多面体で表現される製品の形状データと、曲面で表現される設計図面上の形状データの両者を比較して、乖離が大きいものを不良品として判定して品質管理を行います。
(2019年01月29日 更新)
(2017年01月30日 更新)
(2015年11月18日 初稿)