大規模自然災害の歴史をふり返ると、日本においては、これまで様々な対策を講じてきたものの甚大な被害により長期間にわたる復旧・復興を繰り返してきました。これを避けるためには、とにかく人命を守り、また経済社会への被害が致命的なものにならず迅速に回復する、強さとしなやかさを備えた国土、経済社会システムを平時から構築するという発想に基づき、継続的に取り組むことが重要となっています。
そこで、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法(平成25年12月11日)」が制定され、国においては国土強靱化基本計画を、地方自治体においては国土強靱化地域計画を策定し、各種施策の推進を図るものとされています。
国土強靱化計画においては、①リスクの特定・分析、②脆弱性の特定、③脆弱性の評価・対応方策の検討、④重点化・優先順位付けと実施、⑤結果の評価、といったPDCAサイクルを繰り返し見直すことにより、強靱化を推進することとなっています。
国土強靱化の推進においては、ソフト対策とハード対策を組み合わせた実施が望まれていますが、ハザードマップの作成・活用や避難訓練の実施といったソフト対策の実施が、特に重視されています。
なお、地方公共団体により策定される国土強靱化地域計画に基づき実施される取組みに対しては、関係府省庁所管の交付金・補助金等による支援が受けられることとなっています。
参考文献
内閣官房国土強靱化推進室(2014):国土強靱化とは?(平成26年6月版),pp.10
内閣官房国土強靱化推進室(2016):国土強靱化地域計画策定ガイドライン(第3版)(平成28年5月24日),pp.80
(2016年11月11日 初稿)