海洋のゴミ (海ゴミ)は、海面を漂うゴミ (漂流ゴミ)、海底に沈降するゴミ、さらに海岸に漂着するゴミ (漂着ゴミ) に分けられます。このうち、漂流ゴミの多くは陸上起源であり、台風時期の大雨などによって流木、葦・草、木片、竹、海藻類などが河川から流入してきます。東京湾などの閉鎖性が強い内湾は、外海との海水交換が少なく長い時間に渡ってゴミが滞留するため、漂流ゴミは船舶航行の支障、海域環境の悪化などの原因となります。このようなことから、閉鎖系の内湾では速やかにゴミ回収を行う必要があります。現在、東京湾、伊勢湾、大阪湾、有明海では、国土交通省が所有する海洋環境整備船により漂流ゴミ予測システムを活用したゴミの回収作業が行われています。
漂流ゴミ予測システムは、「ゴミが集積しやすい潮目の位置」と「ゴミの移動経路」を推定することができ、海洋環境整備船によるゴミ回収の効率化に役立っています。具体的には、海洋レーダを含むモニタリング監視で観測しているリアルタイムデータ(流向・流速、河川流量)を利用して、潮目が確認される海域や、観測された流れのデータより予測されたゴミの移動経路となる海域へ海洋環境整備船を速やかに移動させることで、効率的にゴミを回収しています。
(2015年11月18日 初稿)