自然災害や大規模な事故が発生したとき、国土地理院やJAXA(宇宙航空研究開発機構)などの公的機関のほか、民間の機関も、災害状況を把握するための撮影や計測を行なうことがあります。民間機関の撮影・計測は、緊急の依頼による場合と、事前の災害時協定による場合、さらに社会貢献として自主的に実施する場合があります。また複数の機関が協定を結んで共同撮影を行うこともあり、特に甚大な災害で被災地が広域にわたる場合などには、国土地理院と民間の機関との間に結ばれた「災害時における緊急撮影に関する協定」によって、各民間機関が協力して撮影を行います。撮影・計測は、航空機、人工衛星のほか、最近では無人機などによっても行われています。
災害撮影には、平常時との違いがいくつかあります。計画は、災害発生直後から行いますが、気象災害などの場合には十分な情報が無くても状況を予想して即座に作業を始めなければなりません。また天候条件が悪く、鮮明な画像が得られない場合でも、素早い撮影・計測が優先されることがあります。さらに、火山噴火などで危険な状況が続く場合には、国土交通省が飛行制限区域を定めることもあり,安全確保には十分な注意が必要になります。
災害撮影の成果は、依頼主のもとに納められることもありますが、多くの場合、直ちに公開されます。そのため、撮影から成果の公開までの時間をできるだけ短縮するように、全体の工程が工夫されます。災害撮影には、速報性と共に、被災状況に集中しがちな報道写真には無い情報、たとえば被災地の周辺部の状況も捉えた情報や、災害要因との因果関係を示す情報、定量的な計測ができる情報などが求められます。ホームページなどに掲載された画像は、災害状況の把握や、現地調査のための資料として活用されています。
(2014年12月04日 初稿)