近年地方公共団体では公共施設(学校、体育館など)・インフラ(道路、橋、トンネルなど)の老朽化や維持管理に係る経費の増大が懸念されています。そのため、限られた財源の中で最適な状態を維持しながら公共施設やインフラの日常的な維持管理や定期的な修繕を実施する必要があります。そこで各施設の管理者が、施設の特徴や維持管理・更新等に係る取り組み状況を踏まえつつ、中長期にわたる整備の内容や時期、費用等を具体的に示して長寿命化の実施方針を定めた計画が「個別施設計画」です。これにより施設を長寿命化しながら維持管理や修繕コストの縮減・平準化を図ることができます。計画策定後は、計画内容に沿って施設を管理していくとともに、インフラの状態は刻々と変化するため点検結果や現況の状態も踏まえて必要に応じて計画の見直しや更新を見据えた運用が望まれます。個別施設計画の主な記載内容としては、以下の事項があげられます。(1)
1.対象施設
行動計画において個別施設計画を策定することとした施設が対象。
2.計画期間
定期点検サイクル等を考慮の上計画期間を設定し、点検等を踏まえ適宜計画を更新。
3.対策の優先順位の考え方
個別施設の状態(劣化・損傷の状況や要因等)の他、施設の役割、機能、利用状況、重要性等、対策を実施する際に考慮すべき事項を設定の上、優先順位の考え方を明確化。
4.個別施設の状態等
点検・診断によって得られた個別施設の状態について、施設毎に整理。
5.対策内容と実施時期
3.4.を踏まえ、点検・修繕や耐震化等の必要な対策について、講ずる措置の内容や実施時期を施設毎に整理。
6.対策費用
計画期間内に要する対策費用の概算を整理。
[参考文献]
(1)国土交通省 インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議(平成25年11月):「インフラ長寿命化基本計画」
(2025年7月18日 初稿)