分布型河川流出解析は、流域へ到達した降水をインプットとし、メッシュ毎に地表流および地下浸透流に関する方程式を解き、雨水の河川への集水過程を推定する手法を言います。流域の地形、土壌特性(透水係数、間隙率、土層厚等)、降雨分布および土地利用形態の空間分布をメッシュ単位で(平面的かつ地面鉛直方向)考慮できることに特徴があります。従来の手法(合理式、貯留関数法等)に比して、再現性・予測性に優れた流出解析手法です。
地面に到達した雨のうち、一部の雨水は表層を高所から低所へ流下し、一部は地中へ浸透します。水がどれだけの量と時間で地表面または地中を流下・浸透していくかは、地面の勾配、地表面の抵抗(例えば人工物からなる都市域では小さい)、透水係数(土中での水移動のしやすさ)、間隙率(土中の間隙部の割合)および土層厚等で決まります。分布型河川流出解析は、これらの地点によって変わる地形や土壌特性を等間隔で細かく反映し、河川への集水過程を推定することを言います。
分布型河川流出解析は、治水分野(河道計画等)、防災分野(洪水時のリアルタイム河川水位予測等)および利水分野(小水力発電施設候補地検討の際の発電利用可能水量の推定等)の様々な分野で用いられています。また、近年国土交通省によりゲリラ豪雨把握のため整備されてきている、より精度の高いXバンドMPレーダ雨量情報(XRAIN)を考慮することもできます。
(2015年11月18日 初稿)